日経新聞ネタ

本来ならフナイ電気がDVDレコーダー業界に参入とか太陽誘電がDVDの月産を2倍にしたとか、じつはPCサーバの出荷数が昨年度3.1%減少しているとかの話題を取り上げるべき所だろうが今日目を引いたのは大田区の中小企業が中心になり、廉価版の水上飛行機を開発しようという動きだ。私の癖で、新聞は最終面から順に読むという悪癖のおかげで、最後に目に飛び込んできたのだが、まともに読む方は当然、最初にひっかかっていることと思う。もともと、川崎重工などの大きな企業、また、零細でありながら、高度な技術の集積した地域、第二次世界大戦中はひそかに零戦のパーツが組み立てられ、深夜に川崎街道を牛車でひそかに運ばれたという(音がしなく、しかも振動も比較的少ないというのがその理由のようだ)日本を代表する基幹技術の集積地である。墨田区などもその範疇に入るのだろうが、(実際細かい技術などは依然この当たりに集約しているようだ)セイコウ社の移転などで今は見る影もない。

大田区、特に鎌田辺りは、いまだにそういった高い技術を持った零細企業が集まっていることは周知の事実だろう。一時の携帯電話の振動モーター然り、水中プロペラの研磨技術然りだ。しかしそれらはあくまで受動的なものだった。今回の記事は底辺から持ち上がった話だいうのがもっとも注目すべき点だと思う。なんと三年計画で水上飛行機を開発、製造、しかも独自のエアラインさえ、念頭に置いているというのだ。(当面は自動操縦の無人艇を開発、その技術を売りながら、実際に創業し、4~5人乗りのレジャー、海難救助、離島などの災害救助を目的とした飛行艇を開発、将来的に80~100人乗りの中型輸送機を念頭に置いているという壮大なものだ。)日本は抱えている人口に比べて、飛行場が異様に少ないのは事実。しかし、天然の良港に恵まれていることも事実。もちろん湖も多く所有している)そして日本は旧くは二式大艇、新明和・海難救助艇(名前が違うかも知れない)P3Cオライオンを始め(古い情報ですいません。たしか今はもっと新しい水上艇が開発されていたはずですがどうにも名前が出てこない)高波高時の水上離発着技術に関しては世界の最先端を行っていたはず。陸地の少ない日本としては、当然着目すべきポイントだろう。

とすると、わざわざ、都内の空撮に調布まで行かなくても、その当たりの岸べから発着できるわけだ。(そんな簡単なもんじゃないか)写真にあまり関係ないかも知れないが、何かわくわくする話だと思いませんか?

つい話がそれそうなのでもとに戻すが、こんな動きが何だかとても頼もしいのだ。日本という国を象徴化しようとか、そういうことではないけれども、戦後の(戦前も含めて)焦った教育の結果、この現状をかんがみて、しかし、それらは何もすべてが失敗したわけではなく、今、このお寒い状況の中からも何とか芽を出そうとしている動きがあること、その種は蒔かれていたこと(実際の思惑とは別に、あるいは少数の方々の本来の思いが)まだまだ頑張ってみる価値が自分たちにはあると(思いたい。いえ、そう信じなくては)感じることの出来るニュースのような気がしたのです。

未来は私たちが開きましょう。お仕着せでも良いじゃありませんか?出来ることが残っているうちは。まだまだ捨てたものではありません。って実はつい最近まで落ち込んでいたのかも知れませんね。
実は今日、最近知りあったサーバ運用とポップデザインをお仕事にしている方とエプソンの唐沢さんと飲んで、良い気持ちでうちに帰り、たまたまこんな記事を見つけてしまったんで、つい一人で盛り上がっているのです。

とても個人的なもう一つの5月の電塾レポート


今日は二年に一度の大型神田祭。しかも江戸遷都400年記念だそうだ。お天気も上々で午前中から寝ている訳にはいかない。そこで午前中は神田泉公園付近でお神輿を堪能して、秋葉原の牛丼でおなかを膨らまし、電塾に出かけた。

恒例の自己紹介は今回はプログラムも盛りだくさんであり皆さんの自己主張があまりにも多いためだろう、途中から早川塾長から異例の「今日は自己主張なしの自己紹介だけ」という制限がついてしまった。(もちろんほっておけば、時間はどんどんずれていくそうな状況だったのでこれは当然)次回は電塾の開始時間が1時間速められるのだろうか?

レポートで書ききれない、あるいは電塾を代表して言うにはあまりに個人的な意見ではあるがやはり私としてはくすぶらしては置けないので、ここで5月の電塾で感じたことを日記として書き記しておきたい。結果としては第一部のソースプロファイルの有効な活用、という部分に収束していくのだが、そこはレポートを参照していただくとして(レポートにしてはやたら詳しく書いておいたので)まず、第三部ではここまできたカメラ付き携帯電話の画像品質と題して山田久美男氏の講演が行われたが、ある意味メールも出来て、時計内蔵、目覚ましにもなり、ファックス代わりにもなり、カメラ、懐中電灯、住所録、カレンダー機能などを搭載し、GPS機能を持ち、将来的には非接触タイプのメモリーカードも埋め込まれた、PDAどころか、それがないと個人としても認識してもらえないような化け物に進化していく様子が目に浮かび、国民のコードネームはまさしく携帯番号で代用出来るな、とおもう。
 あと足りないものはナイフにのこぎり、つめ切り、はさみ、ペンチ、ドライバー、虫眼鏡くらいだろうか?

 本題に入ろう。実は今日は私は最新携帯電話も気になっていたのだが、郡司氏の講演をいちばん楽しみにしていたのだ。郡司氏はよく、プロファイルは○○もみそも一緒でLabも同じといわれる。なぜそうなのか私には理解し難かったのだが、今日になってやっとわかった。私はその上に付随しているCMYKで仕事をする時に、というフレーズを聞き逃していたのだ。
 であればわかる。プロファイルやLabとして、同じ数値を出しても、CMYKの数値は違う場合があり、印刷機が安定しているのならまだしも、不安定な場合、各インキごとのドットゲインの差や、トラッピング、果ては刷り順などで、これがかなり違った色彩を再現してしまう可能性があるということに警鐘をならしているのだ。(このあたりはとても詳しくお話してくれた)RGB to Lab と Lab to CMYKはイコールではないのだ。RGBから思考を始めるカメラマンにとってはLabとはインデペンデントな頼れる存在なのだが、CMYKから考え始めると、バランスが違うのに、Lab上では同一の数字、同じ色彩と言われる不都合が起こるのだ。こんなところでやはり郡司氏は印刷畑からカラーマネージメントにたどり着いた方だな、と思ったりもした。立場が違うと見る場所がかなり違うのだな、と思う。(ご本人は決してそうは思っていらっしゃらなさそうだが)私達(少なくとも私)は画像を作る際、Labって結構頼りになる存在なのだ。(もちろんPhotoshop の内部エンジンはLabで稼働している。つまりプロファイル変換を駆動するエンジンにはさまざまあるとはいえプロファイルが参照するいまのところ唯一の“暫定”とはいえ、共有カラースペースなのだから。)

 全てをここで新たにレポートする訳にはいかないが、もう一つの警鐘として、カメラマンがインプットプロファイルをつくるとやり過ぎる可能性があるという点に触れていた。しかしながら色彩を揃えることは必要あるとも認め、これはプロファイル運用ではなく、個別カスタマイズとでも呼ぶべきと提案されていた。たしかに、オーバーコレクションは私も賛成しない。というよりも大嫌いだ。
 しかし、インプットプロファイルも確かにICCの基準にのっとってつくられた物なので私はプロファイルと呼んで構わないと考える。(最もこれにはこだわる訳ではないが)私見で恐縮だが、私はとらえ方として、カーマネージメントを理解した上で、アドバンス的に使用するべきものだと思っている。プロファイルとは万能の打ち出の小づちではけしてなく、使いようによってどうにでもなる、鉄人28号のリモコンみたいなものだ。使い方を知らなければ、恐ろしい結果を招くのだともおもう。郡司氏の意見は十分に理解出来るのだが、それを使用する立場が違うのかもしれない。インプットプロファイルの目指すところは個別カスタマイズである、という意見には大賛成。しかし、これはカラーマネージメントから独立してあるのではなく、標準化、基準化を求めるカラーマネージメント(つまりカラマネって単にスタートラインを揃えようとか、最低限の基準値はここだよ、ってあるエリアを指し示しているものだと考えるのだ)から、さらにアドバンスな所、個人技を思いきり披露出来るようなところ(だって商売は人よりよく見せることで仕事を得、高い値段を確保出来るものだもんね、これが無かったら、カメラマンはおしまいだよ)で使用するべき物だろうと思うのだ。値段がとても安く、質よりもスピード、といわれれば、カラマネで最低限のラインとして、65点は保証されたデータを作る。カット¥10000頂けるのなら、クライアントさんにううむ、なるほど、とうなずいてもらえる品質の絵を提供する。そのためにはカラマネだけではだめで、まさにそこに個人技もあったりする。でもこの“最低限ライン”は年々きっと上がっていくんだろうなと思ったりもする、今日この頃だ。共通のものは大事。[平均化]もある意味重要。しかし何でもかんでも平均化させてしまった結果は今の日本を見ればなんだこんなものか、と思う。(でしょ?)

その他に、全てを覚えている訳ではないが、印刷で出てもRGBではでない色は結構あること、 AdobeRGBまでは8ビットでハンドリングしても可、カメラマンにとっては印刷しやすいRGBデータを流通させるこれが大事なことだとも、やはり画像の仕上げの肝はシャープネスにある、とも言われた。

ただ一つこの中で気になってしまったのは、全ては印刷されるべきデータは、という但し書きをつけてお伺いしなければ、また違う理解をしてしまいそうなことだ。確かに我々は紙媒体に印刷するべき元データを作るのをなりわいとしている。しかし、汎用データ、(というものが何をさすのかいまだ定かではないが)未来に向けて記録、保存するべきデータの有り様を思う時に、これらをうのみには出来ないと思う。…これは立場の違い、利用方法の違いに付いて考察している

サーバーの大移動 その5 最終章 handy monitor

 古い画像を開いていくと98年ころから、handy monitorというプロファイルが埋め込まれている。これはもちろん、Monacoを使い始めた頃のことで、自分で作ったモニタのプロファイルだ。それ以前のデータにはもちろんそんなものは存在していない。すこしほっとしたのはそれ以前のデータもAppleRGBとして開くと、それなりに見ることの出来るデータに仕上がっていたことだ。もちろん中にはナンジャこりゃ?というデータも存在する。特に色補正をかけた物たちがそうだ。色相・彩度の観念を理解する以前(いや、いまだって聞きかじっている程度なのだが)のデータを見ると穴があったら入くなる。
 ま、そこまで古いデータは致し方ないとして、問題は98年ころの私のhandy monitorというプロファイルが埋め込まれたデータだ。なんと、あたしはこのプロファイルを埋め込んでお客様にデータを渡していたのだ。(周囲のPhotoshop がv4かv5の時代だ!)気になってこのプロファイルを開いてみて、AppleRGBとほとんど相似形をしている事を確認して一安心。当時は「sRGBは印刷には使えない」といわれ……あたしも言ってた……ほとんどのオペレーターはAppleRGBかモニタRGBを使用していた。つまりプロファイルを破棄されても、AppleRGBで開かれていれば、大きな問題なかったということになる。考えてみれば当然でMonacoで、わたしが使用しているモニタを測色しているのだもの。AppleRGBとPhotoshop 4.0以前のモニタRGB(これはまさしく個人のモニタを参照したカラースペースだといえるがほとんどのモニタの特性が似通っているため、最終的にはAppleRGBに収束させても差し支えなかったのだろう)も私が作ったプロファイルもよくにていたために、結果論としては問題なかったのだろう。

 たしかにAppleRGBで開けば、当時の思い出とともに、確かこんな色だったよなあという状態で開いてくれた。(良かった良かった)でもこれってとんでもないエゴイスティックなデータの渡し方だ。(カラーマネージメントが正しく機能していれば、絶対だめ、ってわけでも無いだろうが、“受け渡されるプロファイルはパブリックなものであるべき”というプロファイルのあり方を考えると、やはりペケだとおもう。)これは私のモニタのある時期の状態(とんでもなくローカル)を他人に押し付けたことになる。(しかも継時変化を起こして色空間のデータに変化があってももプロファイルの名前は一緒)幸いモニタの状態がさほど悪くなかったことや、やはりAppleRGBが主流だったことに助けられた、あくまで偶然にこの結果になっっていたのだろうが、とんでもないことをやっていたものだ。

 そして1999年以降はAdobeRGBのタグが付き出すようになった。善かれと思っての結論だったのだが、当時は時期尚早だった気がする。当然デザイナーさんとは「色空間のすり合わせ」はもちろんしたのが、先方はそれを徹底することは出来なかったようだ。(当時の印刷上がりがそれを示している)しばらくして、社内は AdobeRGBだが、外にでるデータは最後にプロファイル変換を施し、AppleRGBで納品するようになった。悲しいことにその頃はPhotoshop のデフォルトがsRGBになり、またガンマ値の違いが問題になる。2001年ころから外に出すデータのデフォルトをsRGBに切り替えた。この時の問題はAdobeRGB to sRGB(AppleRGBでも同じだが)のプロファイル変換は最低限のマナーだと思うのだが、これとてデータにダメージを与えてしまうのは否めない。(AdobeRGB to AppleRGBのプロファイル変換時にグリーンとその周辺がねじれてしまう)しかし AdobeRGBをsRGBやAppleRGBとして開かれることを思えばこの程度のダメージは黙認するべき問題だったのではないだろうか? 当時はまだAdobeRGBは「パブリックなカラースペース」だとは言い難かったのだ。 

 Photoshop が6.0となり、各ドライバもプロファイルを理解するようになりカラーマネージメントが実用的なものになり出したのはつい最近のことだ。もう AdobeRGBだsRGBだと騒ぐ必要もないのだろう。ディスプレイがキャリブレーションされ、カラー設定が「元画像のプロファイルを参照」するように設定されていれば大元のプロファイルは何だっていいのだ。(プロファイルの重さを考えると AdobeRGBやsRGBの方が格段に軽いので実用的なのは事実)それでもまだ、カラースペース、カラーマネージメントの理解不足によるトラブルは後を絶たない。本来カラーマネージメントなどはバックグラウンドで働き、そのスイッチを入れたら、後はオペレーターが何も気にしなくてもよい、というものにならなくては意味がないと思うのだ。裏返せばグローバルスタンダードにならなくてはその存在意義が危うくなってしまうという…その基盤を確保してこそ、生きるシステムだと認識する今日この頃である。

 カラマネの第一義の目標は標準化であり、基準化で、いつでもどこでも、だれでも、一定のカラースペース基準値を参照して作業するということを目標としているわけで、実はほかに何も無いのだ。ところが、本来アドバンスなところにあるはずの、さらに高みに上るための個性化、個人的プロファイルの応用法という問題をつい同時に取り上げてしまうために混乱がおこっている。(よく会議で紛糾するほとんどはこういった原因が多い気がする。どちらも間違っていないのだが、立場、基盤としているところが食い違っているのだ)現状では自分がやってきたことも含めてカラーマネージメントを語る、あるいは実践する際に基本とする標準化とアドバンスであるべき、プロファイルの個性化が同時に顕現しているのが混乱の原因であるような気がする。こんな混乱はさっさと終わらせてしまいたいものだ。

デジタルのメリット

一年ほど前までよく一緒にデジタルの勉強会を開いた仲間のひとりから、デジタルのメリットととは一体ナンだろうという質問を受けました。
撮影する側のメリットとお客様の受け取るメリットにかなりの隔たりを感じてしまう、ということで、(たとえば、建築撮影などで、カメラマンは仕上がりを確認出来たり、撮影ミスを減らすことが出来る事がメリットととらえるが、お客様は(あるいは営業マンは時間的な早さがメリットととらえている節がある、ということを言っていました。)改めて大きな視点で、将来を見据えて、デジタルのメリットを考えてみたいというのです。

デジタルがまさに普及しようとしているいまだからこそ、個人的なやり取りにせずに、あえてオープンな場で考えてみたいと思います。

制作側のメリットとして
仕事の効率化
フィルム、現像、インスタントフィルムの経費圧縮
テスト現像、本現像の時間短縮
仕上がりを追及することが可能
カメラマンにクリエイターとしての仕事が帰ってきたこと
デメリットとして
データ仕上げのためにかかる時間の増加
コンピュータ、周辺機器、デジタルカメラ、果ては製版の知識までも新たに学習しなくてはならない事柄の多さ、煩雑さ。
加えてそれら機材の購入のためにかかる金銭的負担

お客様のメリットとして
時間短縮
経費節減
再利用の簡便化
デメリットとして
知識、経験の不足による仕上がりの不安定さ

しかしほとんどのメリットとデメリットは裏腹な一面も持っており、作業時間が増えたことはある意味自分がとれる金額を増やせるチャンスだとも言えるのではないだろうか?新しい知識は吸収することに、喜びを感じることもある。また、メリットやデメリットの意味を勘違いしている向きも多く存在しているのではないのでしょうか?

たとえばフィルム、現像、インスタントフィルムの経費の圧縮は新たな機材購入によりほとんど相殺されるでしょう。現像待ちの時間も、データ整理、書きだし、に相殺さるか、人によってはもっと時間がかかっているかもしれません。そうするとデジタルのメリットってなくなってしまうように感じる向きもいらっしゃるかもしれない。裏を返せばデメリットも相殺されている訳ですし、デジタルになって、ここまで写真を追い込むことが出来るようになった、というシーンはかなり多いのは事実です。
また、何といっても自分が暗室作業を取り戻すことが出来たこと、これは他の何者にも変え難い喜びです。私はマシンの前にいることがちっとも苦ではないのです。むしろ写真をフィニッシュしている喜びの方が大きいと感じます。(もちろん、割り切った仕事用の自動処理システムもそれなりに完備しているつもりであり、何でもかんでも時間をかけている訳ではないのです)

それでも制作側のメリットなどは私たちには分かりやすいのですが、勘違い、あるいは思い込みをしているクライアントさんにも正しいメリットを、そしてデジタル工程の活用方を提案するのも大事なことではないかと思っています。

特に金銭面でのメリットを簡単にフィルムを使わないから安い、と思っていらっしゃるクライアントさんに(昔のデジカメの草分けがこういったメリットの側面だけを強調して販売したって事もあるんですが)機材、知識の投資にどれだけのお金と時間がかる事か?ということも理解していただくべきです。そのうえで経費の削減はトータルバランスの中にこそあるということも理解していただくべきです。
全体をみた時に、不要な工程が圧縮され、(写真の再利用の度に新たにスキャニング工程が発生すること、デュープを制作するためにどれだけの時間とお金がかかっていたか?写真であると撮影後に何らかの方法で物理的に届けなくてはならなかったこと、製作時だけでなく、こんなことも数え上げればきりがないでしょう)その仕事、とそれに付随するすべてのもろもろを合わせて考えるべきでしょう。こういったことをクライアントさんにご説明するのも私達の勤めかもしれません。

 時間的な問題も、確かに納品が早いことはメリットかもしれません。しかし、先に制作側のメリット、デメリットのところでも上げたように実際は撮影から納品まではさほどに劇的に早くなる訳ではないのです。(画像の確認、OKのもらえ方などに関してはたしかに劇的です)現像所のデリバリーが充実していれば土日の問題さえ除けばはるかに銀塩の方がカメラマンにとっては楽かもしれません。(土日も仕事している私にとっては大きな問題ですが)本当のメリットは、たとえば、私はよくあるの建築を引き合いに出しますと、
・ 工期が遅れて完成が金曜日になった。でもデジタルは撮影して月曜日の朝に納品出来る。つまり撮影をぎりぎりまで延ばすことも可能。
・ キョウジ屋さんが壁紙を間違えてはってしまった。直す暇が無いけど何とかする
・ まだコンセントがはまっていないけど大丈夫
・ 鏡を多用した部屋の撮影は撮影後に製版で処理しなくてはいけなかった(高いし時間もかかる)
・ 撮影の時間を短縮出来るため、必要なコーディネーター、スタッフの延べ数が格段に減らせる
・ 機材を減らせるため躯体が傷つく可能性が減る
・ 粗画像はその場で渡してもらえる
・ その後に渡されたデータは差し替え、ソフトウエア分解のみで色校に入れる。つまりデザイナーー製版ーまたデザイナーといういったりきたりも無くなる
・ 撮影後データ納品時にバラ校とほとんど同質な色見本を確認出来る
・ 最後の最後、土壇場にに追加された撮影も何とかなっちゃう。

 かなり細かいですが、これらはすべて現実です。デジタルだからこそ、工程を整理し、仕上がりを早期に想定出来るようなシステムを構築出来るのが最も大きなメリットなのです。こういったことを提案し、お客様に納得して私たちを利用していただくべきだと思うのです。

 しかし、メリット、デメリットだけでは語り切れない事実を私は感じます。いきなり大上段に構えてしまいますが、それは、巨視的に言って、もはやデジタルは時代の要請である、と思っています。すでに有害な成分を垂れ流すアナログ工程は地球環境をかんがみるに今後減少することはあれ、増加させる訳には行かないのです。コマーシャル、報道など、写真家のみならず、製版、印刷に携わる私たちの仕事が地球を汚染している現実を見過ごす訳にはいかないでしょう。特に処理数の多い私たちコマーシャル(ポジデユープなどを含めて)に携わる人間でしたら、なおさらでしょう。今後現像所は増やすことも難しいのです(ヨ

サーバーの大移動 その4 Live Picture

 一時、これこそが次世代の画像処理ソフトだと、Live Pictureに凝っていたことがある。64MBのRAMでさくさく動き、レイヤーという観念をもち、FITSファイルという設計書とI Vewという元画像の組み合わせでさまざまな出力に対応(しかもカラーマネージメントの観念を早くから取り入れていた)したソフトだった。特に合成、[ぼかし]にかけては特筆もので、すべてを「ブラシ」でコントロールするという考え方にすっかり参ってしまっていた。
 今ごろそのデータが出てきたが、さてどうしよう。とっくにこのアプリケーションは私のマシンから消えていたのだ。当然OS X では動かないので、久々に出力用に置いてある0S9のマシンにインストールしてみた。G4 450MHzのマシンだが、元気に動く。当然、当時からバッチ処理の機能を持っていたので(やはり先進的なソフトだったと思う)TIFFファイルに書き出すと、今でも文句の無い画像が出力された。

 ブラシを持替えるたびにくるくると回るマークに待たされるのが苦痛になり、また特殊な形で保持するFITSファイルが壊れてしまうことがままあったので、いつの間にかバージョンアップを繰り返すPhotoshop に移行していってしまったのだが…。思い返すとLive Pictureに搭載されていた機能はPhotoshop が4,4.5、5とバージョンアップするたびに次々と搭載されていった。ある意味で、Live PictureはPhotoshop にとって数少ない良き目標だっ他のではないかと思う。今ではPhotoshop 以外のソフトはRAWデータのドライバ(それさえもプラグインが代替しようとしている)以外、ほとんど使用しなくなってしまった。

 今のうちに、ということで、気になる画像はすべてTIFFに書き出し、バックアップをしていった。デジタルの黎明期はともかく、今後永く画像を保存しようという場合、どう行ったフォーマットで保存するのが良いのだろうか?
 保存するためにはスペースを有効活用するために圧縮の技術は不可避だ。しかし非可逆圧縮は出来るだけ避けたい。そのあたりでJpeg2000のやっとの登場は歓迎したいのだが、現状では可逆圧縮は思ったよりも圧縮率が低い。(TIFFのLZW圧縮よりもやや、小さい位か?TIFFで60%だった画像が50%程度にはなった)技術の進歩でこの比率はさらに大きくなるだろう。しかし問題はJpeg2000という規格がパブリックになれるかどうかだ。次代のPhotoshop にはデフォルトで装備されていくのであれば、可能性はあるだろう。リップはこれを食うのか?InDesignは?普遍性というものに思いを寄せると、未来はまだまだ不透明だ。

サーバーの大移動 その3 PM7500/G3/300MHz

 Pictrography4000を駆動するために使用していたPM7500/G3 300MHzを自宅に持帰った。マシンを整理したためだが、あまった64MBを全部に差そうと(8スロットもあるのだ)したら、認識しないスロットがいくつかある。色々に差し替えて見るとインターリーブ(昔のマシンはこれが“売り”の一つだったのだが、実際にはその効果は薄かったと思う。今聞くと懐かしい)するスロットに両方とも64MBを差すと片方しか認識しなくなるようだ。しかも場合によっては起動さえしない。(これには慌てた。電源を落とし、メモリーをいくつか抜いて起動させると何とか動くのだが)でもってやっとA1のスロットに64MB、B1のスロットに32MBという具合に差すとちゃんと96MBで認識するらしいという結論をえた。こんなことって実際にあるんだ。私は初めて経験した。きっとマザーボードが少々いかれているのかも知れない。本来は512MBまで拡張出来るのだが、あれこれためして結局384MBで手を打つことになってしまった。何だかもったいないことだ。

 最もこのマシンは自宅でCD-Rライター、およびプリントサーバとしての第二の人生を歩むことになっているので、この程度のメモリーで申し分ないのだが、メモリー容量の基準が一枚で256MB、512MBになってしまった今では隔世の感が強い。

 てな事で、思い出に浸りながら、その日はこんなことにお休みを一日費やしてしまった。何だか情けない。後日談だが、秋葉館でPM7300が¥5000位で売ってた。これを買ったほうが一日の時間を買えたかもしれない。そう思うとますます情けない。

サーバーの大移動 その2 CDR-SF

 サーバを整理するにあたり、1997年から2002年までのCD-Rに保存してあったデータを整理してDVDーRにバックアップし直す(何しろ量がすごいのでそのままでは保存しておく場所さえ追っつかないのだ)作業を行った。ついでにサンプルとして活用出来る画像を発掘し、当社のWEBサイトに掲載しようという一石二鳥の計画。
 だったはずだが、早速とん挫した。開かないCD-Rが数枚あるのだ。CDR-SFという規格で書き込まれている。そうそう、思い出した。MOディスクのように自由にCD-Rに追記出来るという、確かソニーの規格だ。これは古いAppleCDの規格の中でつくられているらしく、今の機能拡張では開けないといわれた。今更このためにOS7.6 の起動ディスクを作るのも面倒なんで、そのCD-Rはあっさりと切り捨てることにした。
 しかししばらくバックアップを続けるうちに、CDR-SFで書かれたCD-Rと同じタイトルのCD-Rが出てきた。うろ覚えの記憶だが、トーストに乗り換える時に、確か気になってCDRーSFで書き出したCD-Rを全部ハードディスクに戻し、通常の方式(トーストを使った)で焼き直したらしい。自分のことなのにすでに忘れている。ラッキーなことに、中に2~3枚は欲しいデータがあったので、やるべきことはやっておくものだな、と改めて感じた。

 この一件で普遍性ってこういうことをいうんだなとまざまざと見せつけられる思いがしたが、(テーマが大っきい割にやることがせこいね)いつの日にか、またDVD-Rから、新たなバックアップメディアに積み替える日が来るのだろうということにも気がついた。いっそのことCD-RやDVDはそのままに、まるごと120MB程度のハードディスクに(CD-R200枚近くはバックアップ出来る)入れておき、カートリッジ式のケースにでも入れて保存しておくというのはどうだろう?。日記を書いているうちに思いついたのだが、これはいい方法かもしれない。その時々で、最もコストパフォーマンスの良いハードディスクを選べばいいんだ。

 …でもう一つ気がついたことがある。今うちに1~2GBのSCSIのハードディスクがいくつか転がっている。そのままでは、今のMacでは使用出来ない。(わざわざカードを差して使う気にもなれない)その内カードも供給されなくなってしまう。IDEのハードディスクだっていつかはそうなるだろう。うう~ム。考え出すときりがない。でも一年分のデータが数枚のハードディスクに収まってしまうのなら、後の作業は楽かも知んない。

 結論は出すものではなく、踏ん切るものだって、これはあたしが言った話し。

サーバの大移動 その1

不定期便の日記ということでしばらくさぼりまくっていたが、また書くネタが出来たので再開しようと思う。今回はシリーズで少し続けたい。しかし引越が好きだね、あたしは。

240GB程のRAID 5で構築したサーバを活用してきたが、そろそろ整理をしないとこりゃあ持たないなと思っていた矢先、CANON EOS 1Dsを使い出した途端にあっぷあっぷ状態になってしまった。iTuneのデータ、さまざまなデジカメのテストデータ、合成用の素材、経理データ、そして完了前の仕事の途中経過、結果、などが入っていたのだが、さすがに1ファイル30MB超のデータを100も200も撮影し、レイヤーを重ねて合成するとあっというまに保存スペースが無くなってしまう。ハードディスクも安くなったので(これは1年ごとに同じことをしゃべっているような気がするが)容量を増やせば良いのだが、180GBを8個も買うとそれなりに(多分20万くらい)追加投資をしなくてはならなくなる。

考えに考えた末、
1.合成用素材、デジカメのテストデータ、サンプル画像など、変更保存する必要のないものはDVDにバックアップを取り、通常のハードディスクに置いておく
2.通常の作業、撮影してきたデータ、納品済みだが終了してないデータなどはRAIDされたディスクに。
3.音楽、経理の書類(スピードを要求しないもの)はASIP(これまだ持っているんだ)のサーバをもう一つ立てて、ソフトRAID(ミラーリング)させたハードディスクに保存する。
という継ぎはぎ処理をすることにした。
作業としてはASIP6.3を古いPM7600に仕込み、80GBのハードディスクをミラーリングさせた。ここに3番の音楽データなどを移動する。(このマシンは実はPictrography4000のドライブも兼用だが、めったに動かないのでいいことにした。もちろんメモリーの割当には十分に注意を払い、現在こうしてから1ヶ月が経つがノントラブルだ。その後120GBのハードディスクを一枚買ってきて、サーバに追加し、ここに1番の合成用素材データなどを移動し、最後にヤノのRAIDに残ったデータを退避させ、中身をさらい、整理しRAID5を要求するデータのみをここに置くようにした。

いずれは根本的に見直さなくてはならないだろうが、今はこれで乗り切ることにする。その内180GBのハードディスクが1万円なんて事になるに決まってるのだから。そうなったらテラバイト級のRAID5になる。それまでは何とかこれでしのぐことにしよう。

このデータの整理に1か月ほどかかったが、その間、色々と考えさせられたり、気がついたりしたことがあるので徐々に書いていこうと思う。

千鳥ケ淵


 桜は5分咲き。でも今行っておかないと後が無いかも知れないと思い、千鳥ケ淵に出かけた。もちろんお供はCANON EOS 1Ds。45mmレンズの収差があまりにひどいのでさっそく売っパラって買い替えたシグマの50mmマクロを持っていった。{結果的にはほとんど20~35mmズームと75~300ISズームしか使わなかった}写真はそのマクロレンズで撮影した数少ない桜。これは撮影した画像の上下を少々トリミングしただけで、圧縮してあるのでクリックして拡大する場合はご注意ください。結構巨大です。でもこの圧倒的な解像感をぜひ味わって欲しい。
 天気のせいもあり昨年の桜より少々地味かもしれない。けれども昨年デジカメ(Nikon D1X)で撮影したものと比べるときちんと桜だ、とわかる。ついにワンショットデジタルカメラは必要十分な解像感を手に入れたようだ。撮影時の問題としては、後は標準系のまともなレンズが揃ってくれると、データのバックアップ環境の充実が見られれば、言うこと無しだ。
 こういったロケの時って、あっという間に7~8GBのデータが貯まってしまう。現在用意されているコンピューターを解さないバックアップでは容量が不足だったり、電池の持ちが悪かったりというものがほとんどだ。何もしなくてよいからとにかく丸ごと飲み込んでくれ、10~20GBの容量があり、それだけのバッテリーを確保し、小型で持ち運びやすく、USBではなくFireWireで、マシンに接続出来るものが欲しい。6ピンと4ピンのポートを備えていることも結構重要。アップルさんはUSB2.0をサポートする気は無いみたいだものね。巷にあるこういったものはなぜか液晶が付いていて編集出来るようになっていたりするけど私はこれはいらないんじゃないかと思う。電池も食うし。とにかく手軽に、早く、そして安全にバックアップすることが第一の問題で、閲覧などは二義的な問題。十分なバックアップをとった後で、ノートパソコンなどで見ればいいじゃないか、と思うのだが、皆さんはどうだろうか?

屋形船


 初めて屋形船というものに乗ってきた。
何しろ初めてなものだから、いろいろと想像してしまう。剣客商売や鬼平犯科帳などで仕入れた[情報]によるとのんびりと船遊び、っていうのは結構おつなもので、粋なものだと思っていた。庶民というよりはお大臣の遊び。義父の計らいで私たちも便乗することになった。当然ここ二~三年の傾向として桜の開花は早いはず、ということで23日の日曜日にターゲットを定めたのだが、これは空振り。まるまる1週間早かった。
 さて、出発場所はいかにも浅草らしく、言問団子のお店のすぐそばから、船は出るという。当然言問橋のふもとだと思って行くと、これが桜橋の間違いだった。大川の橋の名前なんてそんなに知らないんだもの。言問橋から桜橋まで走る、走る。息を切らしてやっと船に乗り込むと途端にすごい揺れだ。窓の外を見ると大きな定期観光船が通りすぎていくのが見え、なるほど、あの船の航跡に躍らされているのか、とわかる。その後も川を下る間、とんでもなく揺れる。船が小さいせいもあるのだろうが、{今回利用した、浜せいさんの船は20人程度で満杯の比較的小さな舟)川幅が狭いうちは思いきり揺れる。早速大酒飲みなのに船酔い似かかるメンバーが出始めた。
 舟はお台場あたりで止まり、ここで1.5時間ほどのんびりするのだが、なるほど、さすがにこの辺りは静か。しかし料理のほとんどは川を下るうちに食べてしまった。と思っていたら、揚げたてのてんぷらが出てきて、これはおいしかった。周りを見ると、同じような舟がそこここに停泊していた。
 帰るときに見えたのだが、隅田川の橋って、下にみんな名前が書いてあるんだね。今更気がついた。