屋形船


 初めて屋形船というものに乗ってきた。
何しろ初めてなものだから、いろいろと想像してしまう。剣客商売や鬼平犯科帳などで仕入れた[情報]によるとのんびりと船遊び、っていうのは結構おつなもので、粋なものだと思っていた。庶民というよりはお大臣の遊び。義父の計らいで私たちも便乗することになった。当然ここ二~三年の傾向として桜の開花は早いはず、ということで23日の日曜日にターゲットを定めたのだが、これは空振り。まるまる1週間早かった。
 さて、出発場所はいかにも浅草らしく、言問団子のお店のすぐそばから、船は出るという。当然言問橋のふもとだと思って行くと、これが桜橋の間違いだった。大川の橋の名前なんてそんなに知らないんだもの。言問橋から桜橋まで走る、走る。息を切らしてやっと船に乗り込むと途端にすごい揺れだ。窓の外を見ると大きな定期観光船が通りすぎていくのが見え、なるほど、あの船の航跡に躍らされているのか、とわかる。その後も川を下る間、とんでもなく揺れる。船が小さいせいもあるのだろうが、{今回利用した、浜せいさんの船は20人程度で満杯の比較的小さな舟)川幅が狭いうちは思いきり揺れる。早速大酒飲みなのに船酔い似かかるメンバーが出始めた。
 舟はお台場あたりで止まり、ここで1.5時間ほどのんびりするのだが、なるほど、さすがにこの辺りは静か。しかし料理のほとんどは川を下るうちに食べてしまった。と思っていたら、揚げたてのてんぷらが出てきて、これはおいしかった。周りを見ると、同じような舟がそこここに停泊していた。
 帰るときに見えたのだが、隅田川の橋って、下にみんな名前が書いてあるんだね。今更気がついた。