等身大ポスターその2

かなり近くからも見られる、また、通常の観察距離(2~3mでしょうか)でも見られる場合、通常の印刷と仕上げ方がかなり違うと思う。距離がある所から見るだけの場合は下手に解像度を細かくせずに網点をそのまま拡大したほうが画像に迫力がでる。あまり細かい解像度で巨大な画像を作ってしまうと、ぬめっとして見えてしまうようだ。ところがこの画像を近くで見ると、当然網点が肉眼でも見えてしまい、がっかりする事になる訳だ。その点、インキジェットで仕上げたプリントは200dpiで十分見ることが出来る。離れた時と近づいた時の差が小さく感じるのはなぜだろ?網点とディザ合成による画像生成法の違いかもしれない。

解像感では完全にCANON EOS 1Dsの勝ちだった。髪の毛、目、口などは6×4.5から延ばした画像より、遥かに解像している。しかし、ちょいと離れてみた時に解像していない銀塩の方が写真としては力を感じる。観察距離で、結果が違うのにはがく然とし、目的によってこれだけの差があるのだと言うことに改めて気が付かされた。

ただし、それだけではつまらないので、デジタルの画像にノイズを加えてみた。コツはシャープネスを掛けたあとにノイズを加えることのようだ。バランスよく掛けることが出来ると、離れてみても近づいてみても、それなりに見ることが出来るようになった。銀塩ではこうは行かない。ノイズは加えることが出来ても解像感は追加することができないのだから。とは言え、デジタルと銀塩の差は優劣ではなく、質の違いだとあらためて感じられる事ができた。

この結果で、最終的にはデジタルの方に軍配が上がった。予想通りではあったが、ついでに作ったチャンピオンデータの仕上りにはわれながら驚いた。画面に大きく撮影しておいた目鼻などを張り合わせ、作り上げた画像は素晴らしい出来だった。2200万画素オーバーのデジタルカメラはきっとこの程度の写真も軽くクリアーしてくれると期待してしまう。

ちなみに「pixl Smart Scale」 もテストしたかったのだが、ソフトを用意できなかったため、残念ながら、今回は見送った。このプラグインは解像感だけじゃなく、ラインをきちんと出さなくてはならない画像ではきっと効果があると思う。肌の質感を美しく大きくしてくれる訳ではないが、元々が奇麗なデータを、さらに大きくする際の劣化を最小限に抑えると言うか、エッジをベクトルデータとして一時保存し、拡大した画像にそのベクトルを与え直すため、ジャギーの出方が最小限となるというのだ。顔や目の輪郭などにはきっと威力を発揮してくると思われる。

いやいや、ワンショットのデジカメで等身大のプリントがこれだけ出来てしまうとは…

等身大画像その1

ある雑誌の読者プレゼントで、等身大ポスターを作っている。顔の大きさや足の長さ、全身の身長のバランスも正しく再現したいとのことで、ポジから起こしたデータの修正をしなければならない羽目になった。もとの写真は多分、かなり高い位置(顔辺り)から、しかも標準レンズか、よくても少々長めのレンズで撮影されていた。当然プロポーションのバランスが崩れている訳だ。しかも元のポジはどうも6×4.5らしく、髪の毛や目鼻などは全く解像していない。どうもやり切れない仕事だった。

その修正はさておき、さてどうしたらまともに写るのか、という相談を別に持ちかけられた。通常等身大ポスターと言えば、1ないし2mははなれて鑑賞する物だ。つまり、6×8程度のフィルムサイズであれば、問題ないかもしれない。しかし、これに限って言うと、読者は狭い部屋に貼り、ほおずりするように鑑賞するものと思われる。つまり至近距離で観察しても、離れて観察しても、解像しており質感のよい物を求められる訳だ。

4×5で長めのレンズをフォールダウンしながらとればよい、という案はあっさり蹴られ、(値段の問題のようだ)それではCANON EOS 1Dsの画像で比較してみようということになった。

準備したレンズはもうその実力を知っている90mmShift。もう一本は135mmF2。さて比較した解像感は私の予想ではレンズ単体での解像力の高い90mmの勝ちだったのだが、実際には135mmの方に軍配が上がった。その理由はデータを解析してみると、一目瞭然だった。問題はピントなのだ。90mmShiftでは、マニュアルフォーカスになる。私の実力、+デジタルゆえのピント一の問題だろう。135mmは全てオートフォーカスを使用したため、どのカットも素晴らしい合焦精度を示していたのだ。

その結果、最終的に解像勘の良かったのは、135mmF2のレンズだった、という訳だ。(もっとも、ここまで拡大しなくてははっきりとは言えないだろう)

データは200%拡大し、微調整。さらに必要な寸法まで拡大し(エプソンのPX9000での出力なので、解像度は200dpi)プリントアウトした。
比較用に6×4.5にいっぱいいっぱいに撮影した画像をスキャニングして(3200dpiでスキャンしたら、すでに粒子が確認されている。思いついて、新機種のX900m,これが4800dpiなのだが、結果としてはこちらの方が遥かに精度が高かった。フラットベッドスキャナと言えども恐ろしい性能を身に付けてきた物だ。)

さて、実際の比較は第二部で