今日は青森のホテルで目が覚めた。9時に目覚ましをかけたのだが、実際に起きたのは10時頃。メールをチェックすると東北電塾でよくご一緒した水沢市の朝日印刷におつとめの小沢さんから三沢にもそんな庭園があるよ、というメール。昨日の青森へ行く途中に見た限り、三沢もけっこう雪が降っていたので撮影できるかもしれないと、予定変更(実は八戸の実家に昼だけ寄っていこうかと思っていた)して、三沢へ向かう。途中貨物と自家用車の踏切事故があり、1時間電車が遅れる、というトラブルはあったが、あたしが乗った鈍行列車は旨いこと野辺地で特急白鳥に追いつき、結果的に普通につくことが出来た。(ほっとしたわ)小沢さんは水沢駅まで車で向かえに来てくれた。
あたしもまだお昼を食べていなかったので、ご一緒にカレー屋さんに入り、ランチ。これがびっくりするくらい美味しい!。たった700円ランチだけど、幸せとはこういうところにあるのかな、と思います。そうそう、奥様もかなりの美人さんでした。
水沢市内の旅館、割烹の坪庭は探してくださったけれど、あまり良くなかったとのことで、車で50分くらい…三沢から、六戸を超えて「五戸」というところまで走る。目的地は五戸の端っこで八戸に近い所らしい。何でも20号線(比較的新しく出来た線)沿いに、日本庭園のサンプルの様になっている場所があるらしい。(このあたりって一戸、二戸、三戸~九戸と馬の生産地だった地名が今でも残っているのだ。特に五戸は馬刺しで有名。あたしの田舎の八戸はその八番目だという。十和田が十番目だという話も聞くがこれは眉唾」)
たどり着いたところは実は青森、北海道の瓦葺きを一手に引き受ける社長さんの別荘だった!偶然彼はプレハブにいてくれて、いろいろとお話しをお伺いする。実はこの日本庭園は15年かけて趣味で造っているのだそうだ。びっくりするね。日が暮れないと予定の撮影が出来ないのでしばらく「薪ストーブ」に(なつかしい!)たきぎを継ぎ足しながら、お話しをお伺いすることに。こんな理由で、この三日間、雪の、夜の日本庭園を探して新潟、長岡、青森と尋ねているのだとお話しすると、「おめえは飛んでもねえきちがいだな」と面白がってくれる。「そんなモン探して三日も雪の中を腰まで浸かってあるいているのが?」…と。彼はこの庭園は人に見せるものでなく、ただ自分が楽しいから作っているのだという。あたしがズボンを靴下の中に入れて(北国の子供はよくやるのよ!)出かけると、わざわざ長靴と靴下を出してくれ、ガムテープで膝を留めるという荒技まで伝授してくれた。人のことは言えない方だよね。
プレハブの窓から差し込む光の中でなにか、しきりに「たばこをふかしながら」一生懸命にやることの楽しさを熱く語る姿に、つい写真を撮りたくなってしまい、彼の写真を撮ろうとレンズを向けると、「おれはあまり外に出たり、人様のまえにでたぐね」といい、断られてしまった。この手の方に無理強いはしない方が良いと、さっさと仕舞ってしまったが、あの光と被写体はきっと取りたくなるよなあ…。そこでその日の月…。
五戸にはめづらしい、腰まで浸かる雪の中、まだ誰も入っていない(そんな物好きはいない)一町歩くらいある新雪の中をラッセルする。小沢さんは今日はお仕事なのだろうに、ずっと付き合ってくれた。あたしが一番気にいった場所は全く照明がなくて真っ暗。ISOを6400に上げてF2のレンズ解放でも絵にならない。静止画なら、遅いシャッタースピードをいくらでも使えるのに…。動画とはまた別のものだね。で、普請をしていた大工の棟梁さんに工事用の照明を貸してもらい、コードを延長して、裏庭まで光を運んだ。小沢さんにはここでも「ライト手持ち」のライトマンとしてお手伝いをお願いすることに。あたしって都合が良い。思いがけず大がかりな撮影になってしまった!
しかも、その配下の大工さんが、最後はあたしを八戸駅まで車で送ってくれた。今回の取材旅行は新潟では加藤さん、青森では朝子ちゃん、そして三沢では小沢さんに「瓦屋の大将」といろんな方にお世話になった。心から、ありがとう。感謝でいっぱいです。
目的の絵がきちんと撮れたか、って言うとどれも「一寸違う」…でもあたし個人としてはいろんな方に支えられ、いろんな人にふれあうことが出来たことはとても楽しく、幸せな三日間だった。
しかも、「大人の休日倶楽部」のチケットで動き回ったので、これだけあちこち行って交通費は三日間分特急券も指定席もみんなまとめて12000円!凄いでしょ!。(タクシーやなんかは別よ)これだけ有効に使ったのは初めてだわ!。(暇があったら、普通にこれだけ移動するといくらかかるのか計算してみたいわ!)
帰りの新幹線“はやて”の中で、幕の内弁当(今回は駅弁の写真が多いね)をつまみにつつき、ビールを結局5缶も消費しながら、日記を書いている。そういえば今回の旅の始まりもそうだった…。すでに車内で三日分のバックアップを作製、RAW現像も終わり、後は書き出すだけ。(もっともバッテリーは残り16%なので、きっとあと20分くらいでシャットダウンしてしまう)なんだか、むちゃくちゃ忙しく、慌ただしい三日間だった。でも、改めて動画と静止画の「つかみ」の違い、装備の違い、暗さに対する対応の違いを肌で感じ、「それならこういう方法論があるかもね」といろいろ考えさせられるい日々だった。最近のあたしにとって、特別な三日間をくれた「なんかの神様」に感謝。