抜歯

大学病院というところに入った事がなかったが、意外と普通の大きめの病院。でも院内ルールがさまざまにあり、私には何だか、ばかにされているような感じもする。

実は親知らずを抜きに来たのだ。なんだそれなら歯医者でいいじゃん、と思いそうだが、その歯医者さんが「こりゃまだ頭が肉から出ていないし、隣の歯にぶつかってるし、おまけに根っこが神経またいでる。ちゃんとした設備のあるところで手術しなきゃだめだよ」っておっしゃったのだ。

手術?…抜歯じゃなくて、手術なんだ…。というわけですこしでも痛くないようにするために(あたしは手術、注射、血なんて言う単語にめっぽう弱い、それに麻酔が効かないのは願い下げなので)少し前から酒を控え、その日は会社を休めるようにセッティングして、飯田橋の駅から見える大きな大学病院に向かったというわけだ。(とはいえ、打ち合わせ一件だけは入っていたのだが)あらかじめ先生には術後は痛いぞ、腫れるぞ、って脅かされている。病院に入るまでは憂うつの塊だった。

最近の麻酔って、なかなかよくできている。最初は歯茎に塗り薬のような形の表皮麻酔をしかけるのだ。それが効いてきた後で、例のぶっとい麻酔注射をする。いやなものはいやだが、麻酔注射自体の痛さは劇的に緩和されていた。

その後は何だかわかんないうちに、がりがり、とされ、そのうちにぐりぐり、次にぐいぐい、ってされてドリルがうなる音が聞こえて、手術は終わったようだ。感覚では多分二針縫ってもらったようだ。(バッテンなのかしら?)

出血が止まらない、とか神経関連の後遺症の心配が多分にあるという事で、さんざん脅かされ、自宅に還された。という言うわけで今日は夕方打ち合わせをする以外は寝ているしかないのだが、やはり結構痛い。あご周りの筋肉がつったりしているようで苦しいし、出血はなかなか止まらず、口の中が血だらけで鉄臭い。本でも読んでみようと思ったが、活字に集中する事も出来ない。

集中できずに無理やり本を見つめていると眠くなり、2時間ほど寝ると落ち着いてきたように思えるが、どうやら今度は麻酔が切れ始めたようだ。慌てて鎮痛剤を服用する。これでもう2時間ほど寝る事が出来、おかげで状態は快方に向かう。

夕方、ProfessionalDTPの田村氏が自宅まで連載の打ち合わせに来てくれ、1時間ほどお話したのが何か良いリハビリになったみたいだ。ずっとウィダーインゼリーのような流動食を食べつづけているのがよかったのかもしれない。(実はこれを予想して昨日はそばを5枚も食いだめして女房にあきれられていたのだ)だいぶ口周りが楽になった。

歯を食いしばる事さえしなければ、いけそうだったので、自宅で“久田”が使用しているiBookの不調になった、ハードディスクを交換する事にした。始めてみて気がついたのだが、あたしはiBookをバラすのは初めてだった。(何度もばらしたのはウォールストリートだった。あれはばらしやすかったけど、iBookは違う。ケースに入っているというのではなく、骨組みにハードディスクやCD-R、基盤が張り付き、その周りにアクリルを貼り付けた、というようなもので、順番を間違うと決して内部にアクセスできないようだ。以前聞いたばらし方を思い出しつつ、作業進行。開運なんでも探偵団を見ながらやっていたので2時間もかかって、結果、ビスが一本余った。ま、もう持ち歩きはしないので良いか、という事にして、結構疲れて寝る事にした。

というわけでこの日記は翌日に書いている。朝一に行ったお医者さんのお話では術後は順調、との事。めでたしめでたし。