美樹ちゃんと石井さん。


私が練馬にある中堅の印刷会社の外注カメラマンだった頃、知りあったカメラマン二人が、同じ週に個展を開いた。島村美紀という、元々うちでアシスタントをやってくれていた、非常に作家性の高い子だったのだが、さっさといくつかの賞をとり、もう個展も7~8回、グループ展を含めると十数回の展覧会を開いている。なぜか、気が合うことに、二人とも廃虚好き。朽ちかけたもの、荒涼とした風景が好きで、しかもモノクロ好きと来ている。今は大変身してしまったかっての無人島に一緒に撮影に行ったこともある。女性とは思えない(という表現はどうかな?、)大胆な“静かなのに動感のある”構図が得意だ。久しぶりに10点ほどの新作を堪能してきた。

もう一人、石井さんという、私の兄貴分に当たるようなカメラマン。先の外注カメラマン時代によくご一緒させていただいたのだが、実は私の初期の撮影技術は皆、彼から盗ませていただいた(なんかみょうな表現だね)。彼の写真の仕上がりがとても気に入ったので、いつもすぐそばで撮影し、そのライティングやら、露出の決定法やらをまねしたものだ。写真学校にも、カメラマンに付いたことも無い私にとっては素晴らしい先生だった。いつか、石井氏から、マネッコ鹿ちゃん、といわれたことがある。当然そんなことには気がついていたのだろう。それでも自由に見せてくれたことに、今でも感謝している。

多分、もう十年ぶりになるだろう。久しぶりにお会い出来て、また、彼が結構あたしと同じような視点で風景を見ている事を知り、何となく嬉しくなった。崩れた壁のしみとか、焼けたドラム缶、腐食したペンキとかそういったものを切り取っている(カメラマンや絵描き、イラストレーターって結構こういうことをしているらしい)

そんな懐かしい知り合いにはしごをした一日だった。