サーバの導入はワークフローを激変させる。

 2003年を迎えました。明けましておめでとうございます。今年は、今年こそはCMS元年となりますよう心よりお祈り申し上げます。ぜひ、おめでたい年になってほしいものだと願います。五穀豊穰。安産祈願。経済安定。仕事躍進。

 その辺とは別にすでに昨年中に用意されている日記をしばらく書き続けることにします。今日は新年らしくRAID装置のお話。(ってなんのことやねん)

 サーバにヤノ電器製のRAID装置をつないで半年以上が過ぎた。本来の安定性、安全性などは1年以上経ってから論じるべきだろうが、目に見えてワークフローが変わってきたので、とにかく私たちの仕事に及ぼした効果について少々書き記したい。
 
RAID装置の導入

 サーバマシンはG4-400MHzに256×4枚で1Gのメモリー。これにOS X Server v1.5.1という構成ではじまった。
 以前はこのマシンに ULTRA SCSI 160でハードディスクを3枚つないで作業用ディスクにしていた。本来のサーバとしては別にソフトミラーリングでハードディスクを組んだAppleShere IP 7.6を設置していたので、そこが壊れてはならないデータ倉庫ということになっていた。つまりパッチを当て続けて作ったシステムだったわけだ。
 以前は、NASを導入しようという計画があったが、さまざまないきさつがあり、とん挫してしまっていた。早いとこ安全で、信頼できるサーバが欲しかったのだが1年間何となくそのままにしてしまっていた。データを失踪させるという大変なトラブルがあり、その後ヤノ電器さんのRAIDマシンに出会った。
 2年前だったら、いったいいくらしていたのだろう? 。ATAハードディスクの台頭は私たちに“巨大なストレージの私物化”を可能にしてくれた。40、80,120Gのハードディスクを8枚積むことができる、以前の私ならきっと“化け物”と思ってしまうような構成だ。オーバー100GのRAID5は確か200万円は軽くしていたと思う。その値段ゆえ躊躇していたのだが1年たち、ついに導入する気になったのはカメラマンとして当然してはいけないことを起こしてしまったからだ。

データの保存には気をつけましょう

 データの保存には気を遣っていたが、そこは人間のすること。どっかに抜けがある。(RAIDされたというか、保護されたディスクスペースは40G程度しか確保できていなかった、という理由もあったのだが)
スタジオを引っ越すときにいつまでたってもデータの仕上がりを要求してこないお客様がいて、仕上がりを迎えないまま、そのまま作業用ディスク(当時は作業用ディスクはRAIDされていなかった)に残っていたデータがあったのだ。こんなときは何かが起こるもの、とこのデータをCD-Rに焼いてバックアップをして、スタジオを引っ越した。
案の定、古いマシンが調子悪くなり2台がたてつづけに死んだ。その中に作業用ディスクも含まれていたのだ。ほとんどは別のディスクに元データもあり、完成データもCD-Rに焼いてあったので、事無きを得た、と思っていた。
 しかし、その2週間後くらいに「遅くなってしまいましたが」と、件のデータを要求するメールが舞い込んだ。もちろんすぐに出来ますよ、と答え、そのデータを探したのだが、どこにもないのだ。何処のハードディスクの中にもない。そして焼いたはずのCD-Rさえないのだ。どうやら引っ越しの最中に処分した、焼きに失敗したり余分に焼いたりしたCD-Rといっしょに処分されてしまったらしい。
1ヶ月ほど捜索は続いたが、結局遭難したデータは出てこなかった。もともとデータ倉庫に余裕がないためにあっちに移し、こっちに移し、ということを繰り返してきた。その後遺症なんだろうと思う。一元管理ができるためには余裕というものが必要。それをこれでもかと教えてくれた気がする。
 
設置は驚くほど簡単!

 そこで話しが元に戻るが、240GBのRAID装置の導入となったわけだ。本当は0.8テラバイトのシステムにしたかったのだが、引っ越しにお金を使いすぎ、ほとんど今日の飯にも困っていたので、ここは我慢、ということになった。(でも個人でテラバイト、という言葉を使用できるような時代になっちゃたんだ、とつくづく思う)
このマシンに決めたのはMACに昔から専用周辺機器を作ってきたヤノ電器の製品という安心感。更に電源の二重構造や搭載するハードディスクを徹底的にぶん回しチェックを入れてから採用するという念の入れように心が動いたのだ。
また一個のスペアーディスクを確保しても240GBの要領が確保できるという点。(40G 7台にデータをパリティごと分散保存するため実際の容量は40×6=240G。それにくだんのスペアーディスクが1台で合計8台のハードディスク)これで、たてつづけに2台まではハードディスクが飛んでもデータは復旧できるということだ。

実際の設置は驚くほど簡単。箱から出して、セルフチェックを行い問題ないというので、サーバマシンにつなげる。パーティションを切り、(私は後々のメンテナンスのために4つに分けたが)マウント。それだけでセットアップが終了した。
何だかあまりにあっけなくて、ありがたみがない。私の方で用があり、2度ばかりサーバを落としたことはあるが、それ以外は一度も止まらずにこの2ヶ月間動いている。
 
とにかく速い!

 安心を買うつもりで導入したRAID装置だったが、それ以外にワークフローも激変した。はやいのだ。とにかく速いのだ。ほとんどローカルのハードディスクにデータをおいているのかと思うくらいはやい。
念のため大きめのデータを調整するときはデータをローカルに落として作業するが、自分たちのマシンには今作業中のデータ以外ほとんどデータは存在しない。すべてRAIDされ、集中管理ができるハードディスクにデータはおかれる。(もちろん納品が終わるまでは取り込み用マシンにも元データ、ハンドリングする人間のマシンに作業中のデータが更に2重に存在しているのは当然だ)
 どうもスペック上はもっと速いようだ。ただサーバマシンの力が足りないのと、サーバとクライアントの間を1000BaseTでつなげば、もっと効果が上がるらしい。(現在1対1で、1GB 1.5分ほどのスピードが出ている。十分ではあるがアクセスが増えたときのことを考えると余裕を持っておきたい。)
 
バックアップの苦労も激減

 そして余裕のあるディスクスペースはバックアップの苦労も激減させてくれた。2日か3日に一度はCD-R2~3枚に焼き込んでいたものが、現在は、3~4週間に一度DVDに焼込むだけでよい。それでも半分以上はサーバのディスクスペースが開いているのだ。
仕事がもっと繁盛したり、巨大なデータばかりを扱うようになれば、もちろん更に拡張しなければならないだろう。その頃はNASもも