カノッサンの屈辱II

島村美紀というカメラマンと知り合ったのはもう10年以上前の事だ。知り合ったその日にお互いに廃虚好き、モノクロプリントにセピア調色、不思議な[ぼかし]好き、という共通項があり、昔は一緒に塀を乗り越えたり、廃虚を撮影して帰ってきたらば車がレッカー移動されていたりと、大変な目にあいもしたが、今は懐かしい思い出。一緒に撮影に行く事はなくなったけれども、いまだに付かず離れずのおつきあいが続いている。
最初は彼女は日大芸術学部を卒業したてで、アシスタントをやってもらっていたのだが、その内にあっという間にカメラマンになってしまい、私がもたもたしているうちに、さっさとどこだったかの大賞を取り、ニューヨークデモ個展を開き、もうすでに20回以上の個展を数える立派な作家タイプのカメラマンだ。
ここのところ招待状を頂いても拝見できない事が多かったのだが、今日はうまく時間がとれ、拝観する事が出来た。
久しぶりの彼女の作品は何だか熟成感が増し、柔らかな廃虚に見えた。徐々に変化するタイプの作家さんなのだと思う。
いくつかの廃虚情報を交換し、またあう事を約束した。