高千穂


あたしは高千穂に中学生のころからあこがれていた。天孫降臨の場所、という事以上にあの盆地、渓谷、そしてやや荒々しさを持ちながら神々しい山並みの眺めが大好きだったのだ。(いや、まだ一度もその地を訪れた事はないのだが、多分ドキュメンタリーや山好きのお兄ちゃんの本で知っていたのだろう)
昨日、懇親会、二次会、ラーメンとお付き合い願ったお二人のうち、電塾のBBSにも時々登場している長谷さんが私を高千穂に連れていってくださるという。実はレンタカーでも借りていこうかと思っていたのに、ナビゲーション機能付きの運転手と4WDという最強の組み合わせが突然私の目の前に現れたのだ。彼のご好意に完全に甘え、さっそく、デリカで高千穂に向かう事になった。

途中、阿蘇の全容を見せていただいたりしながら、最初に天岩戸神社にむかう。天岩戸は神域で撮影禁止との事でさっさとパスして天安河原に向かう。奥深い流れの上流にそれは位置し、八百万の神々が岩戸開きの相談をしたというところ。なぜか石が積んである。日本は泉はみんなトレビの泉にしてしまうし、河原なんでも賽の河原にしてしまう傾向があるようだ。クマンバチのような蜂に襲われて永瀬さんに退治していただいたりしながら、往復で6キロ近くの石段の上がり降りしてもまだお腹は空かない。昨日のラーメンがまだお腹にのこっているようなのだ。
メインの高千穂渓谷に入るが、さすがに男二人でボートに乗るのは遠慮した。歩いてその深いV字型の渓谷の造形美を楽しむ。流しそうめんをやっていたが、それはさておき、私は高千穂牛の牛丼、長谷さんは鱒寿司そして二人ともビール。なかなか良い感じになってきた。
国見ケ丘に登り、連なる山並みと雲を楽しんでいるうちに遠くからごろごろと雷の音が聞こえてきた。
そろそろ引き上げないと、雨に降りこめられそうなので、撤収する事にしたが、個人的には国見ケ丘の眺めがもっとも気に入った。私はきっと、これを見たくて高千穂にきたのだ。
帰りはいくつかの石橋、灌漑の用水路などを見学して空港に向かう。南九州の石組みの文化を改めて見せつけられた思いがする。高千穂は九州のどの空港からも同じように遠いのだそうだ。

念願の高千穂を堪能した私は長谷さんに感謝しながら、また飛行機に乗って東京に帰る。一日仕事をしないで会社に行かなかったのは久しぶりの事だ。しかし帰って見ると、軽い熱射病にかかっていたらしく、とにかくビタミンと睡眠をとる事にした。
ただし、気になる事がひとつある。会社の私のマシンが起動しなくなり、かたかたいってるのだそうだ。あれって起動ディスクのバックアップを取ってあったっけ?